ロコ・ソラーレのGMに就任し社会人1年生となった本橋麻里さん。町おこしも1年生として、各市町村の代表者とともにオホーツクの魅力をどんどん深堀りします!グルメや自然が自慢のオホーツクはどのシーズンも見どころがたくさん。そんなオホーツク18市町村を春・夏・秋・冬の季節ごとに得意分野のテーマを設け、それぞれのシーズンの楽しみ方について学び、町づくりについてのアイデアを考えていきます。今回のテーマは「オホーツクの秋」です。
本橋GMとオホーツクの秋を語る
メンバー(写真左から)
遠軽町
高松 慎司さん
遠軽町経済部
商工観光課
置戸町
五十嵐 勝昭さん
置戸町・社会教育課
西興部村
佐貫 友紀さん
西興部村教育委員会
社会教育係
清里町
廣谷 淳平さん
清里町焼酎醸造所
津別町
立川 彰さん
株式会社道東テレビ
芸術と食欲のオホーツクの秋!
- オホーツクには秋の行楽シーズンを楽しめるスポットがたくさんありますよね!今回もそんな「オホーツクの秋」の魅力を皆さんに教えてもらって、よりよい町づくりへ向けたアイデアを学んでいきたいと思います。まずは、“わが町の秋の自慢ポイント”を教えてください!
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遠軽町
- 遠軽町からは10ヘクタールの広大な敷地に咲く1,000万本のコスモスをPRしたいと思います。
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置戸町
- オケクラフトについてお話します。置戸町は木の町でして、オケクラフトが誕生してから36年を迎えております。今日はイチオシのカーリングストーンのオケクラフトをお持ちしました。
- すごいですね!かわいい!
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置戸町
- 後ほど詳しくお話しさせていただきます。
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西興部村
- 森の美術館「木夢(コム)」の活動についてご紹介したいと思います。
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清里町
- 清里町からは日本で唯一、町が造るじゃがいも焼酎についてお話したいと思います。
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津別町
- 津別町からは最近大ヒットしているクマヤキについて語らせていただきます。また、私が代表を務めます道東テレビのオホーツクでの役割についてもお話しできればと思います。
- 秋のオホーツクはまさに芸術と食欲の秋ですね!より深く掘り下げていきます!
草取りに2,000人が殺到!?
町民でつくる花畑。
- 遠軽町の秋といえば、やはり満開のコスモス畑ですよね!
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遠軽町
- そうですね。「太陽の丘 えんがる公園」のコスモス園は、8月末ごろから10月上旬が見頃です。そしてこのコスモス園は、町民の皆さんがボランティアで草取りをやってくださっているんです。こちらは草取りに向かうボランティアの皆さんの写真なんですけどこれ、朝7時です。
- えー!すごく参加率が高いですね!
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遠軽町
- 年間2,000人ぐらいの方が協力してくれています。小さな子どもからお年寄りの方、あとは会社総出で参加してくれたり遠軽高校の授業で来てもらったり。町民の皆さんにご協力をいただきながら、コスモス園が成り立っているということです。なので町民の庭とも言われていますね。
- 素晴らしいですね!草取りはコスモスが咲いてからも続けるんですか?
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遠軽町
- コスモスが咲いてからは、一般のお客さまが来られるのでやっていないんですけども、8月下旬ぐらいまでは誰でも草取りができます。
- 最初はどうやって草取りへの参加を呼びかけたんですか?
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遠軽町
- 観光協会や商工会議所、あと遠軽町の3者で協力して呼びかけました。あとは新聞折り込みなどで町民の方に呼びかけを行っています。
- ボランティアでその数が集まるのは、あまり聞いたことがないですね!
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遠軽町
- 珍しいと思います。
- この草取りは毎年恒例行事なんですね。
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遠軽町
- そうなんです。みなさんも今年はないのか?という感じで待っていてくださっているのかもしれないです。
- 町のイベントが一つ増えたんですね。
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遠軽町
- お揃いのTシャツやユニフォームを作って参加してくれている団体もあります。
- ユニフォームまで!町を元気にするには地元の方のパワーが必要ですよね。私たちの地元でもオリンピックに出るまでカーリングを知らない方が多かったんです。でも自分の町に誇れるものがあるとわかってから、積極的に応援に来てくださるようになりましたね。遠軽町も、草取りをきっかけに町の名所の魅力を知って大事にし続けるという、そんな良い例かなと思います。
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遠軽町
- そうですね。これからも続けていければと思います。
町をつくる人をつくる、
オケクラフトの原点。
- 私もオケクラフトが好きで。ちょっと高級ですよね。
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置戸町
- 一つ一つ作り手の技術や心が込もっているので。1日に何個ぐらい作れるんですかって聞かれるんですけど、ひと月単位なんです。一番ベーシックなお椀でベテランは月に500個ぐらい、最近独立した作り手は50個ぐらいですね。それだけの差がでるほど、オケクラフトは奥深いんです。
- そんなに違うんですね!オケクラフトは一本の木からできているんですよね。
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置戸町
- はい。一本の木からなので継ぎ目がないのが特徴です。立っている木を割れやすい芯を外して切って、板状に製材します。
- すごい滑らかな見た目。
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置戸町
- このカーリングストーンのオケクラフトは木に塗る樹脂を変えて、ストーンの配色をイメージしてもらえるように工夫しているんです。
- 色を付けるよりこのままの方がきれいです。
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置戸町
- オケクラフトは置戸町全体として人を育てる目的のもと、36年前からスタートしました。そして、ものづくりを通じて町の発展に力を貸してもらおうとオケクラフトの作り手を育てています。町を盛り上げる人づくりが、置戸の町づくりの原点なんです。
- オケクラフトの作り手さんは何名ぐらいいらっしゃるんですか?
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置戸町
- 今は23名です。
- たくさんいらっしゃるんですね!
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置戸町
- 毎年作り手を育てる2年間の研修をやっているんです。2年生は来年の3月になると独立します。一番のベテランで70歳をこえているので、どんどん後輩を育てなければならないんです。
- きっと若い方とベテランの方だと作るものも違いますよね。
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置戸町
- そうですね。カーリングストーンのオケクラフトは独立して2年目の作り手が作ったんです。
- ベテランの方にとっては斬新なアイデアですよね。
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置戸町
- 刺激し合うことでより良いものが作れるといいですね。
- 置戸町ではオケクラフトの作り手さんを違う市町村からも受け入れているんですか?
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置戸町
- そうですね。今は他の町から来ている方がほとんどです。23人の内、地元が6人。あとは町外からで、半分以上が北海道外の方ですね。
- 北海道以外の地域から来ているってすごいことですよね!どうやって募集したんですか?人材を確保すること自体、相当な労力がいると思うんです。
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置戸町
- 難しいですね。ホームページや、個人の方のSNSをお借りしながら情報を発信しています。
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津別町
- 置戸町さんの人づくりへの思いや取組は、移住定住促進の一つの形ですよね。
- 確かにそうですね。移住した先に職があって、そしてそれが町を盛り上げる。素晴らしいですよね!
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置戸町
- そうですね。置戸町だから、オケクラフトを作りたいという人がたくさん集まってくれると、町ももっと活気づくかと思います。
木で町を育む、
オホーツククラフトの輪。
- 置戸町から木つながりですね。西興部村の木夢(コム)について、教えてください。
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西興部村
- 森の美術館木夢(コム)は平成9年に開館し、今年で22年目を迎えました。初の元号またぎということで、ゴールデンウィークの10連休は休まず開館をさせていただいて、約2,000人の方に来ていただきました。西興部村全体のテーマでもある「木育」を学びながら、木のぬくもりに触れられる施設となっています。
- 木工教室も開催しているんですね。小さい子どもでも参加できるんですか?
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西興部村
- 毎週土日に大人でも子どもでも誰でも参加できる木工教室を開催しております。これはオリジナルで作った今年のカレンダーなんですが、木工教室で作る作品の図案になっています。
- なるほど。わかりやすいですね。
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西興部村
- あとは大人の方向けにはなりますが、ウッディオータムスクールというクラフト制作教室もあって、今年の秋にはクリスマスツリーを作ります。好きなチャームを飾れるので、このようにオケクラフトも乗せられます。
- オケクラフトのコラボレーションが!(笑)木の温かみがあってかわいいですね!
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西興部村
- 木工教室を通して木育を推進しながら、オホーツク管内の木育施設でつくられている「オホーツククラフト街道」というネットワークにも加盟していて、オホーツクの木を広める活動も行っています。先日も置戸町さんとも今後一緒に頑張っていきましょうというお話をしました。
- オホーツク管内が木でつながっているんですね!なにか新しいプロジェクトを温めているんですか?
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西興部村
- そうですね。まずは置戸町さんに限らず加盟している市町村同士で、PRし合って交流人口を増やすことを始めようかと。そんな活動からオホーツクの木を楽しんでいただける機会を増やせたらと構想しています。
町民の思いが生み出した、
日本初の焼酎。
- 清里町のじゃがいも焼酎はお土産に買ったりします!どうしてじゃがいもで焼酎を造ろうと思ったんですか?
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清里町
- 清里町は昔から農業が基幹産業として成り立っている町で、じゃがいもと小麦とビートを主に作っています。そしてじゃがいもは「片栗粉」、小麦は「小麦粉」、ビートは「てん菜糖」に加工して出荷しているんですが、片栗粉とかをお土産にというのは町に来ていただいた方にはあまりニーズがないというか。清里町に行ってきたということを形に残せるものがなかったんです。
- 使い勝手は良いですけどね(笑)。
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清里町
- そこで清里町を代表する特産品を作らないかという声があがったんです。清里町で育てたものを原料に、何が作れるか調べてみると、戦中戦後の頃、北見市の方でじゃがいもから燃料用のアルコールを作っていた施設があったんです。じゃがいもで燃料が作れるのなら、もしかして焼酎も造れるのではないかと。そこで長い時間をかけ研究を進め、当時としては日本で初めて、じゃがいもから焼酎を造ることに成功したんです。
- 町が焼酎を造ったということ自体初めてですか?
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清里町
- そうですね。焼酎以外ですと池田町や富良野市のワインがあるんですが、町営で焼酎を造っているというのは清里町が唯一となっております。
- 町の皆さんの、地元をPRしたいという思いが生んだ焼酎ということですね。
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清里町
- はい。なので焼酎には、清里町のじゃがいもだけを使っています。そして町民みんなの意見を聞きながらよりよい味、よりよい香りを目指しこの一本を造り上げてきました。
- 本当に町のみんなの思いが込められているんですね。ボトルデザインもおしゃれで洗練されていますよね。
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清里町
- ボトルは2014年にリニューアルをして、グッドデザイン賞もいただきました。商品名も「北海道清里」に変更して、焼酎をきっかけに清里町を知ってもらうことで町のPRにもつなげています。じゃがいもの付加価値にもつながって、良い循環ができていると思います。
- 日本で初めての取組というトピックスもそうですが、町のみんなが同じ気持ちで造り上げたということが、町づくりを進める上での大きな成功の一つですね。
人気の秘密はあんにあった!?
クマヤキの秘密。
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津別町
- 本橋さん、クマヤキは食べたことはありますか?
- もちろんあります!かわいくておいしいので大好きです!
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津別町
- 今日は皆さんの分もあるので、食べながらクマヤキのお話を聞いていただければと思います。
- ありがとうございます!私は白クマちゃんにします!クマヤキは全部もちもちなんですか?白クマだけですか?
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津別町
- 白クマはタピオカ生地なのでもちもちなんです。このクマヤキのあんは、津別の町にある相生(あいおい)っていう人口100人を切っている小さな集落のおばあちゃんの秘伝のレシピをそのまま使っているんです。
- 地元の方のレシピを!その話を聞くとますます好きになっちゃいますね!
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津別町
- 以前クマヤキを取材した時に、大ヒットの秘密を聞いたら「味」だと。北海道産にこだわって味も徹底して管理しているというのが人気の秘密だそうです。
- 確かに、あんも皮も全部北海道産ですもんね。食べて応援したくなりますね。地元の人も、遊びにきた人も。
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津別町
- あとはこの愛らしくて、手に吸い付くようなデザイン。これは津別町出身のイラストレーター、大西重成さんがデザインしたんです。
- オホーツクールのイラストを書いてくださっている大西さんのお父様ですよね。
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津別町
- そうです。津別町では大西重成さんを中心に「NeoFolk」という新しいカルチャーを生み出そうと、クリエイターや僕みたいな映像制作者を町に呼んで新しいメディアを作ろうとしているんです。
- 食と芸術で津別町を盛り上げようとしているんですね。なかなか他の町にはない、ワクワクする町づくりですね!道東テレビではどんな活動をされているんですか?
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津別町
- 実はオホーツクにはケーブルテレビが西興部村にあるだけで、ローカルテレビ局の支局もない映像制作の過疎地なんです。だから、オホーツク管内の市町村の映像記録ってなかなか残せていなくて。
- 確かにそうですね。
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津別町
- 津別町とは仕事で縁があったことから、この町の記録を映像で残すコンテンツの制作が出来たらと思って、千葉県から地域おこし協力隊というかたちで移住してきたんです。そして道東テレビを立ち上げ、オホーツク全体をPRする映像を制作しています。
- 道東テレビさんが入ってくださるとオホーツク管内の情報発信もしやすくなりますね。
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津別町
- そうですね。オホーツク管内がひとつになって発信することができるようになると思います。
- 今日も取材のネタがたくさん見つかりましたね!
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津別町
- オホーツクは全体的にネタの宝庫だなとは思っています。遠軽町さんの草取りはぜひ取材したいです。
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遠軽町
- ぜひぜひ!お待ちしております。
※対談後、本橋さんが津別町を訪れてくれました!→こちら
秋のオホーツクを訪れる皆さまへ。
- それでは最後に、秋のオホーツクに遊びにいらっしゃる皆さまへメッセージをお願いします!
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遠軽町
- 2019年度のうちに、遠軽町の市街地まで高規格道路が延びる予定になっています。アクセスが便利になった遠軽町へ、1,000万本のコスモスをぜひ見に来てください。
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置戸町
- 食育の秋、芸術の秋、そして木育の秋ということで。オケクラフトが気になったらぜひ置戸町までお越しください。
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西興部村
- 木夢(コム)には日本最大級の木の砂場もございます。秋はクリスマスツリーの木工体験や、ハロウィーンなどの子どもたち向けのイベントも企画しますので、ぜひ遊びに来ていただければと思います。
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清里町
- 秋のオホーツクはちょっと大人な雰囲気の景色と、活気ある収穫の風景が楽しめます。焼酎造りもちょうど9月から11月にかけて行っていますので、大人の工場見学にも来ていただければと思います。
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津別町
- クマヤキを味わいに、ぜひとも立ち寄っていただいてですね。津別町には他にも「シゲチャンランド」という、大西重成さんの私設美術館があります。秋は津別町で食欲と芸術欲を満たしてください。
オホーツクの秋には“つくる”というキーワードがたくさんありましたね。観光客に楽しんでもらえる空間をつくる、町をつくる人をつくる、町を代表する特産品をつくる。これらは全て地元の皆さんの「地元を元気にしたい」という思いがあってこそ生まれるものですよね。私たちロコ・ソラーレも、オホーツクールをきっかけに18市町村をPRする魅力を共につくっていけたらと思いました。